季節は11月末。
やっと、やっと暑さも落ち着き、「山辺の道」を再開。前回で踏破する予定でしたが、さすがに猛暑続きの8月では難しかった😂😂😂(熱中症寸前)
前回は天理駅~柳本駅で脱落、今回は桜井駅に車を停めて、電車で柳本駅まで移動し、そこから桜井駅向けてスタート。
秋晴れの快晴、気温も長袖アンダーシャツで十分な最高のコンディション。
9.0kmの距離を4時間で歩き抜くのだ。
散策記
柳本駅



黒塚古墳
最初にみえてきたのは、「黒塚古墳」
「卑弥呼の鏡」とも呼ばれる銅鏡が、当時のままの配置で発見。
1997年の発掘調査で、竪穴式石室から33面もの「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」が出土。三角縁神獣鏡は、邪馬台国の女王・卑弥呼が魏(中国)から贈られた鏡ではないかという説があり、この古墳の被葬者が初期ヤマト政権(あるいは邪馬台国)の中枢と強い関わりを持っていたことを示唆してようです。
案内がないとただの池なのか?と通り過ぎてしまいそうになった😅



出典:Google Earth
行燈山古墳(あんどんやまこふん)
国道169号線を横断し山側へ。そこには「行燈山古墳」が現れてきます。
黒塚古墳が「卑弥呼の鏡」で有名なら、こちらは「最初の天皇」の墓として知られる、非常に格式高い古墳。宮内庁により第10代 崇神(すじん)天皇の陵墓(お墓)に指定されており、正式名称は「山邊道勾岡上陵(やまのべのみちのまがりのおかのえのみささぎ)」と言う。
出典: 宮内庁「天皇系図」
全長約242mで全国第16位の規模を誇り、すぐ近くにあるさらに巨大な渋谷向山古墳(現在は景行天皇陵とされている/全長300m)の方が、その規模や築造時期から「こちらこそが崇神天皇の墓ではないか」と考える説も根強くあるようです。
ℹ️古墳大きさランキング(日本全国版)が堺市公式サイトに掲載されている




キレイな前方後円墳である。先人はどうやってこの形状を築いたのか不思議である。
出典:Google Earth

櫛山古墳(くしやまこふん)
行燈山古墳のすぐ東隣にある「櫛山古墳」
この古墳の最大の特徴は、「日本に数例しかない極めて珍しい形」をしている。通常の前方後円墳は「円+四角」の形ですが、櫛山古墳は「四角+円+四角」という形をしています。
また行燈山古墳と隣接しており、その近さから崇神天皇に非常に近い親族や、有力な臣下が葬られているのではないかと考えられているそうです。


側面からは古墳の形状は確認できない。

出典:Google Earth

出典:「桜井茶臼山古墳 大和文化財保存会 1989年」より
最古のみちばた



「ダリアの王様」なかなか勇ましいネーミング。

ハイビスカスティーの原料になる植物。
観賞用のハイビスカスとは別の品種ですが、花が咲いた後にできる「赤い実(正確にはガク)」を食用にするそうです。
美容や健康に良いハーブとして人気があり、自分で育てて楽しむ方も増えています。

「酸っぱそうに見えて実は甘い」というギャップから、「奇跡のみかん」とも呼ばれる人気の品種です(それやったら、無人売店で買うんやった😂)
渋谷向山古墳(しぶたにむかいやまこふん)
「渋谷向山古墳」は、先ほどの行燈山古墳(崇神天皇陵)から南へ少し歩いた位置にある、さらに巨大な前方後円墳です。
一言でいうと、「崇神天皇陵よりも大きく、もしかしたらこちらが本物の崇神天皇陵かもしれない」と言われているミステリアスな超大型古墳です。宮内庁により第12代 景行(けいこう)天皇の陵墓(お墓)に指定されており、正式名称は「山邊道上陵(やまのべのみちのえのみささぎ)」といいます。
全長約300メートル。行燈山古墳(242m)よりも一回り大きく、奈良県内でも屈指の巨大さを誇り、全国ランキングでも第7〜8位に入るスーパー古墳なのだ。現在指定されている景行天皇は、あの伝説の英雄「ヤマトタケル(日本武尊)」のお父さん。



出典:Google Earth

有人販売所・無人販売所
歩き終えてから気づいたのだが、この区間(柳本~大神神社)には販売所の数がすごく多い。人の往来が多い区間なのか??? 柿やみかん、野菜など街のスーパーより安価に販売されています。






果樹園
渋谷向山古墳~大神神社までの区間、低勾配を利用した果樹園が多くみられます。その中でもみかん園が大半を占めています。
檜原神社(ひばらじんじゃ)
大神神社(おおみわじんじゃ)の摂社で、「元伊勢(もといせ)」の伝説で知られる非常に格式高い神社です。伊勢神宮に祀られている天照大御神(アマテラスオオミカミ)は、最初から伊勢にいたわけではありません。第10代崇神天皇(行燈山古墳の被葬者)の時代、皇居からアマテラスを外へお出しすることになり、皇女・豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)が最初に祀った場所が、この檜原神社(当時の地名は「倭笠縫邑(やまとかさぬいのむら)」)だと伝えられています。
その後、アマテラスは理想の鎮座地を求めて各地を旅し、最終的に伊勢に落ち着きます。そのため、ここは「最初の伊勢=元伊勢」と呼ばれています。
この神社には、神様が入る建物である「本殿」や「拝殿」がありません。
その代わりに、非常に珍しい3つの鳥居が連結した「三ツ鳥居」だけが立っています。




玄賓庵(げんぴあん)
山の辺の道沿いにひっそりと佇んでおり、「世俗を嫌った高僧が隠れ住んだ場所」として知られる、非常に風情のある隠れ家的なスポットです。
このお寺の名前の由来となった玄賓(げんぴん)というお坊さんは、平安時代初期の実在の人物ですが、「出世なんてまっぴらごめん」という徹底した生き方で有名でした。
玄賓は非常に徳の高い僧侶でしたが、名声を嫌って三輪山の麓(現在のこの場所付近)に隠れ住んでいました。その噂を聞きつけた時の天皇(嵯峨天皇と言われます)が、「高い地位を与えるから都へ来てほしい」と使いを送りましたが、玄賓は歌を詠んでこれを断りました。





狭井神社 (さいじんじゃ)
「狭井神社」は、大神神社(おおみわじんじゃ)の境内にある神社で、「病気平癒(病気治し)の神様」として全国的に有名です。
拝殿の裏手に「薬井戸(くすりいど)」と呼ばれる井戸があります。ここから湧き出る水は、古くから「万病に効くご神水」として信仰されています。
ご神体である三輪山(みわやま)は、禁足地として古来より入山が厳しく制限されてきましたが、ここ狭井神社で手続きをした場合に限り、登ることが許されます(登拝といいます)あくまで「お参り」として登るため、飲食禁止(水分補給は可)、撮影禁止、私語を慎むなど、厳しいルールがあります。狭井神社の社務所で申し込み(300円)を行い、白い襷(たすき)をかけて入山します。往復2〜3時間ほどの道のりです。


大神神社 三輪明神(おおみわじんじゃ みわみょうじん)
日本最古の神社の一つとされる非常に格式高い神社です。地元では親しみを込めて「三輪明神(みわみょうじん)」とも呼ばれます。
日本のほとんどの神社には、神様がいらっしゃる「本殿」がありますが、大神神社には本殿がありません。背後にそびえる三輪山(みわやま)そのものがご神体だからです。これは神社という建物ができる前、自然そのものを神として崇めていた古代の信仰形態(古神道)を今に伝える、非常に貴重なスタイルです。(先ほどの檜原神社と同じ形式です)
ご祭神の「大物主大神(おおものぬしのおおかみ)」は、神話の中でしばしば蛇の姿で現れます。拝殿の前に大きな杉の木があり、ここには白い蛇が棲んでいると言われています。蛇の好物である「卵」とお酒をお供えして参拝する風習があります。境内のあちこちに卵が供えられているのはそのためです。


JR_桜井駅まで
大神神社を過ぎると、人も減り閑散とした静かな風景が愉しめる。



「山の辺の道」や「大神神社」といったド直球の古代日本・和風なエリアにおいて、ここだけ本格的な「西洋近代美術」を楽しめるという、非常にユニークで貴重なスポットです。
地元の実業家・喜多万次郎氏が長年収集した個人コレクションを展示しています。

終盤へ
金屋=海石榴市
ここは古代、「海石榴市(つばいち)」と呼ばれた日本最古・最大級の市場があったとされる、非常に重要な場所です。
現在のこのエリアは、古代の大和政権にとっての「国際貿易港」のような場所でした。すぐ近くを流れる大和川は、大阪湾(難波津)へと繋がっています。大陸(中国や朝鮮半島)からの使節団は、船で大阪から大和川をさかのぼり、この場所(金屋=海石榴市)で船を降りて、陸路で飛鳥や藤原京へ向かいました。
逆に、小野妹子などの遣隋使たちも、ここから船に乗って大陸へと旅立っていきました。まさに「大和の玄関口」でした。



■音羽山(おとわやま)851.7m
・音羽山の中腹(標高600m付近)には、音羽山観音寺(おとわやまかんのんじ)というお寺があり、人気ドキュメンタリー『やまと尼寺 精進日記』の舞台となったお寺です。
・音羽山は、隣接する経ヶ塚山(きょうがづかやま)、熊ヶ岳(くまがだけ)と合わせて「音羽三山」と呼ばれ、さらに竜門岳へと続く山並みは「大和アルプス」とも称されます。
■遠くに三輪山
本場手延素麺
ランチタイム
歴史を振り返る、まさに歴史の古道。
今回の“山辺の道ウォーキング”でいろいろと学ぶことができました。
京都が「千年の都(きらびやかな王朝・武家文化)」だとすれば、奈良はそれよりもっと古い「始まりの都(神話と古墳、国の誕生)」
卑弥呼の鏡(黒塚古墳)や、最初の天皇(行燈山古墳)、神話の元伊勢(檜原神社)など、教科書や物語の中の話だと思っていたことが、実際の「モノ」や「場所」として目の前に存在している。このリアリティは奈良でしか味わえません。
きらびやかな金箔の建物はありませんが、土の温かみ、木々の緑、夕日の美しさなど、「日本の原風景」とも言える飾らない景色が、訪れる人の心を落ち着かせてくれます。
“奈良いいね”また好きになりました😊😊😊
【出典】
・Google Earth
・「宮内庁」公式サイト
・「堺市」公式サイト
・「桜井茶臼山古墳 大和文化財保存会 1989年」より
・「中田数博農園」奈良県桜井市穴師273
・「森岡祥章(ヨシフミ)観光果樹園」奈良県桜井市穴師452
・「喜多美術館」奈良県桜井市大字金屋730
・「巽製粉株式会社」奈良県桜井市粟殿789-1
・「cafe・de・arbol」奈良県桜井市粟殿355








